《MUMEI》

「それ・・・」

私は思わず、言ってしまった。

由季は直ぐに隠した。

そして、教室に戻ろうとしていた。

でも、私はそれを止めた。

「それ、リストカットだよね。由季、手首切ってるの?」

「・・・由季?」

「あっ、ごめん。つい・・・」

「いいよ、別に。好きなように呼べば?」

「ありがとう。・・・で、いつからやってるの?」

「そんなのあんたに関係ないでしょ。みんなに言いたければ言えば?」

由季は、私の目を見て、はっきり言った。






あの時の目だった。

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