《MUMEI》 責任「早く腕放せや。」 「けど…けどお前は……。」 「いいから放せ!」 すると突然扉が開いた。 「何やってんの? お前ら……。」 中からは、 さっき凪谷賢史の悪口を言っていたであろう人達が、 俺達を見下ろしていた。 「凪谷にダチいたんだ。」 「いや、こいつらはたまたまいただけです。」 「ふーん……。 で、何で中入って来ねぇの?」 「今から入るとこやったんです。」 そう言うと、 足を前へと踏み出した。 「行くな!!」 けれど颯ちゃんが強引に彼の腕を引っ張る。 それを見て部屋の中にいた人達は、 物凄い形相で俺と颯ちゃんを睨み付けた。 「なんだ。 お前ら盗み聞きしてたのか。」 だけど対照的に笑顔で隣りにいる奴がこう言った。 「別にいーじゃん? 俺、良いこと思い付いちゃったし〜」 「何思い付いたんだ?」 その言葉と同時に、 彼等はなにやらまたヒソヒソ話を始めた。 その間、 凪谷賢史はその場に突っ立っていた。 逃げることだって出来たのに……。 俺と颯ちゃんも金縛りにあったように、 その場に突っ立っていた。 何故だか分からないけど、 この場を立ち去ったらいけないような気がしていたんだ。 前へ |次へ |
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