《MUMEI》
土産の和菓子
「はいよ、麦茶」


(俺の部屋なんだけど…)


以前祐は、俺に米のとぎ方を教えにきたから、食器の位置も


俺の冷蔵庫が飲み物だけは充実している事も把握していた。


ちなみに


一組しかなかった食器は


高山家御一同様が少しずつ、さりげなく、時に図々しく置いて行った結果


いつ、誰が来ても大丈夫な状態になっていた。


(そのうち日用品や布団持ってこないだろうな)


それは俺の密かな恐怖だった。


しかし、今回二人が持ってきたのは


祐が『お土産』と言った、ひよこの形をした和菓子だった。


『和菓子なんて珍しいな。どこ行って来たんだ?』


二人は食に関してこだわりがあるから、この和菓子を買う為に旅行してもおかしくないだろうと思い


俺は、普通にそう質問した。


の、だが…


『『…』』


二人は、しばらく顔を見合わせた後


安藤先輩は『ひ●こを知らない人間がいるなんて…』と言葉を失い


祐は、『まぁ、祐也だからな』と、苦笑した。


『馬鹿にするな。ひよこ位知ってるぞ』


ニワトリの子供だと、詳しく説明したら


爆笑された。

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