《MUMEI》 学校見学「…東京?」 「そ…。これは、東京で売ってる、それはそれは有名な和菓子、…なんだぞっ、…プッ」 「失礼よ、祐」 「だ、…てさぁ…っ」 俺が睨んでも 安藤先輩が呆れても 祐は、笑い続けていた。 (無視だ、無視) 「東京に何しに行ったんですか?」 俺は安藤先輩にだけ話しかけた。 「専門学校の見学会に行ってきたの」 「結局同じ学校にしたんですか?」 「一番設備が整ってるし、雰囲気も良かったしね」 安藤先輩は思い出しながら、手に持っていた大きめの封筒を握りしめた。 (多分、パンフレットだな) 「ちなみに俺は一年コースだから、祐也と一緒に社会人になれるぞ。 一緒に高山家の為に頑張ろうな」 「私はとりあえず製菓コースを一年受けて、それから栄養学も学ぶつもり」 「へぇ、すごいですね」 「…あれ、俺スルー?」 (うん) 俺は、言葉には出さずに、安藤先輩の言葉にだけ反応した。 「そんなに俺と仕事するのが嫌なのか?」 「すねても可愛くないぞ」 (別に仕事したくないわけじゃないけどな) とりあえず、この場はそのまますねる祐を放置していた。 前へ |次へ |
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