《MUMEI》

ふと視線を凪谷賢史に戻すと、
彼は上半身裸になっていた。


何故?


そこでハッとした。


「や、やめろ!!」


「へへ、マジでコイツをボコれるとはな!」


ドカッ!!


「ぐ………。」


奴等のうちの一人が凪谷賢史の腹を思い切り殴った。


「俺も!!」


そうして次に胸を殴られる。


「ぐはっ……。」


彼は、
抵抗すらしようとせず、
ひたすら次々と襲いかかる痛みに耐えていた。


だが、
ふと疑問に思った。


何で彼等は顔や足、
腕を狙わないんだ?


「おい、服で隠れるとこだけにしとけよ。」


「ああ、分かってる。」


「!!?」


まさか……彼等はメディアに知らされるのを恐れて?


なんて卑怯なんだ!!


「放せ!!」


「放せよ!!」


俺と颯ちゃんは必死に抵抗した。


「フッ、なんだこいつら。」


「凪谷に会いに来たんだろ?

おとなしく見てろよ!

凪谷の惨めな姿をな!」

「ギャハハっ!

それ傑作!!!」


このまま指を加えて見ていることしか出来ないのか?


彼を救うことは出来ないのか……?

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