《MUMEI》
志貴の髪質
「髪切っても良かったんだけどなあ…」


そう言う志貴の髪は、今は肩まで伸びていた。


志貴の髪は、黒くて真っ直ぐて艶がある。


(母親似だよな…)


以前会った貴子さんも、同じ髪質をしていた。


その髪質のせいで、『カラーもパーマもダメだった』と嘆く志貴は、反動なのか、コロコロ髪型を変える。


「髪型変えないでよ、志貴ちゃん」

「はいはい」

「それがベストなんだからね」


(確かにかっこいいよな)


後ろに束ねただけの髪型だが、美しい志貴の顔が強調されていた。


「つーか、部長、カツラ暑いです…」

「本番は秋だから」

「重いです」

「我慢」

「…はい」


俺は、衣装によって、カツラまで変えられ


終わる頃にはぐったりした。


(あ、…そうだ)


「なぁ、この後ヒマ?」


俺は、ひ●この存在を思い出し、『友達』に声をかけた。


俺がこの場で友達と認識していたのは、志貴と柊の二人だけだった。


だから、友達の彼女の希先輩が一緒に来るのは反対しなかった。


の、だが…


「待ってよ〜祐也〜」


当たり前のように頼もついてきた。

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