《MUMEI》 『俺に出来るのはここまでだ…。 …あとは髭でも生やして誤魔化せ…。』 潜りの外科医……男鹿(おが)は、兼松の目を覆っていた化膿止めの湿布を剥がし、手鏡を渡した。 『余り変わってねぇな…。 …こっちは大金を払ってんだぞ…。』 兼松は鏡を覗くなり、男鹿に食ってかかる。 『贅沢言うんじゃねぇよ…。 アンタが来た時点で此処はもう安全じゃねえんだ。 術代には引越し費用も入ってるんだからな…。』 男鹿は血だらけの手術着を乱暴に洗濯籠へ放り投げた。 『こんな汚ぇセーフハウスから、億ションにでも引っ越すつもりかょ…?』 兼松はブツブツ文句を言いながらも、鏡の中の"新しい顔"をつぶさに観察した。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |