《MUMEI》 「──珠季」 「ぇ」 放課後── 千代と帰ろうとしたら 静瑠に呼び止められた。 「何だよ、アタシ何か──」 したか? 「これ」 「ぇ、何だよこれ」 「後で読んでおいてくれ」 「何で後でだよ。‥ってオイ話聞けっつの」 「色々と忙しくてね、あまりゆっくりはしていられない」 「だから何なんだよこの紙──」 「読めば分かるさ」 チラッと振り返って 静瑠は言った。 「それじゃ、僕は失礼するよ」 「ぇ‥、オイ待ちやがれっ」 叫んだ時には── もうソイツは行っちまってた。 前へ |次へ |
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