《MUMEI》
修練3
体勢を整え再び斬りかかる。
「はっ!」
右から左へと抜ける上段からの一撃は簡単に止められる。
お返しといった感じで軽く剣を振るう式夜。慌てて盾で防ぎ、続けて斬撃を放つ。できる限りの様々な斬撃を放つがいずれも簡単に止められている。止めた後には必ず1〜2撃の攻撃を返す式夜。
ガッガッと木剣が打ち合わされる音と狩月の声がしばらく響く。
「主人・・いつまでやっていればいいのですか?」
4〜5分狩月の斬撃を受け止めていた式夜が声をあげる。狩月は疲れて肩で息をしている。
「狩月も疲れてきてるみたいだしその辺でいいよ。」
「狩月は・・基本的な戦闘用のスキルを覚えてからかな?瞬動とか、ホークアイとか・・魔力による身体能力強化も教えた方がよさそうだね。」
「そうだね。」
彩詩とバンプが互いに考えていたことを狩月に話す。それに対し狩月は、
「SPもう残ってないんですけど・・覚えられますか?」
琴から聞いた話を思い出しながら質問をする。
「SPは強化することにしか使用できないんだよね。例えば・・剣技にSPを使ったとすると、その一撃に魔力が上乗せされて、一撃の威力を上げる訳。さっき式夜が使った「瞬動」だと速度が上がったりタメが短くなって使いやすくなる訳だよ。だから基本的に習得するにはSPとか関係なくて自分で使えるようにならないとダメなんだよ。それを訓練によって技を磨くか、SPによって技を磨くかの違いがあるくらいかな。まぁ魔法系のスキルに関しては少し違うけどね。」
「と言うわけで・・バンプ〜狩月を任せていい?式夜、始めよっか。」
「はい。お願いします。」
彩詩と式夜の二人は修練所の中央へ。バンプと狩月は隅の方へと移動する。
「僕が、先生役か〜なんか嬉しいかも。とりあえず、瞬動から教えるね。」
尻尾をパタパタ振りながら説明を始める。
「・・・瞬動ってどんなスキルなんですか?」
質問の答えに困り、頭をポリポリと掻くバンプ。う〜ん・・・としばらく考え、
「・・瞬間移動みたいなスキル・・かな?」
「瞬間移動ですか・・」
二人でう〜んと悩み始める。
「ポン」と手を打ち、
「とりあえずそこは置いといて・・・魔力の収束はできる?」
「えっと・・マジックソード使うときに少しはやっていたので出来ると思います。」
「やって見せて。」
すっと右手を前に出し、意識を右手に集中させていく。わずかに右手が赤い燐光を帯び始める。
「これで・・いいんですよね?」

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