《MUMEI》 初祭当日「ひどいな、祐也は」 「セクハラする頼が悪い」 夏祭当日。 俺の右隣には、俺に殴られた頬をさする頼がいた。 …普通以上に力が入ってしまったのは忍のせいだ。 「いいじゃない、見分けも付くし」 俺の左隣の志貴が笑いながら言った。 頼と、ここにいない厳は、今日は同じ浴衣を着ているらしい。 「厳はハーレム作ってるし、俺は祐也といるんだからわかるだろ」 (まだそうなのか) てっきり厳は既に松本と付き合っていると思っていた。 「まだそうなの?」 俺と同じ事を考えていた志貴が、口を開いた。 「朝倉はとにかく美人で自然と話題が合うらしいし、石川の差し入れは群を抜いて美味いらしいし。 トータルバランスだと松本らしいけど?」 (厳なら言いそうだな) 苦笑する俺の隣で志貴は『最低』と呟いていた。 (志貴は基本一途だからな) 今日は俺にベッタリな志貴だが、それは拓磨がいないからだろうと俺は解釈していた。 「全く俺みたいに一途になればいいのに」 「柊…」 そんな、俺達三人の後ろには バカップルな柊と希先輩がいた。 前へ |次へ |
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