《MUMEI》
バイトの理由
忍情報によると、祭で屋台を出す『テキヤ』と呼ばれる人達は、美保さんのような人種が多いらしい。


(確かに)


たこ焼きの屋台も


お好み焼きの屋台も


カラフルな頭とピアスの男性が作っていた。


「なぁ、何で拓磨はバイトしてるんだ?」


そんなカラフル集団の中で


体格はいいが、いかにも爽やかスポーツマンの拓磨は浮きまくっていた。


ちなみに


今志貴が食べている焼きそばは拓磨の奢りで


俺のは、柊の奢りだった。


それから


バカップルは二人で一つの焼きそばを食べていた。


真司は意外と食べるから、二つ焼きそばを買って、長谷川が残した半分も食べていた。


守と吉野は…


吉野が焼きそばを拒絶したから、守が一人で黙々と食べていた。


「「そりゃ…」」


真司と守はさりげなく志貴を見つめた。


(あぁ、そういう事か)


何となく、わかった。


志貴の誕生日プレゼントを買う為だと。


「いっただき〜!」

「い、いつの間に!」


俺の焼きそばは、半分以上頼に食べられていた。


「まあまあ、屋台はまだまだあるし」

「まだ、…食べるのか?」


少食な俺の顔は引きつっていた。

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