《MUMEI》
意外な屋台
「祐也、次は…」

「無理!もう無理!入らないから!」


あれから


たこ焼き


お好み焼き


クレープ


いか焼き


焼き鳥


チョコバナナと…


(思い出しただけで、吐き気がする)


俺は、皆に


主に、志貴と頼に連れ回された。


胃は、既に限界だった。


「絶対俺は食べないから!」


そう叫んだ時


シーン


何故か、周りが静まり帰った。


「兄ちゃん、…これ、食べるんかい?」


赤髪の店員が、震えながら『これ』を


泳いでいる金魚を指差した。


「あ、いや…」


(落ち着け、俺)


いくら無知な俺でも、金魚は食べ物ではない事はわかる。


しかし


目の前のこの屋台が何なのか、わからない。


「兄ちゃん。金魚すくい、知らないのかい?」

「は、はい。すみません…初心者なんで…」


(恥ずかしい)


俺はうつ向いた。


「金魚すくいが? 祭が?」

「両方です」


その瞬間


「か、わいいな祐也! 俺今ズキューンってなった!」


意味不明な言葉を発しながら、守が抱きついてきた。

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