《MUMEI》 もみくちゃ(はぁ…) それからは、とにかく大変だった。 守のように 『ズキューンってなった』 一緒にいた連中や 屋台のヤンキー達が 俺に祭の良さを教えようと、心を一つにした。 『食べられない』と断る俺に、『持ち帰っていいから』と強引に屋台の食べ物を押し付け 金魚はもちろん お面も渡された。 その上… 『い、いいですってば!』 『いいから乗っとけ!』 数人に担がれ、何故か御輿に乗せられた。 (未だに何だかわかんないし…) 御輿を体験しろと言われたから、普通に担ごうとしたら 『華があるから』 とか言われた。 『浴衣から見えるチラリ生足サイコー!』 (あれは、聞かなかった事にしよう…) 頼の声は、幻聴だと思う事にした。 「ため息つくと幸せ逃げるよ?」 「…屋代さん」 振り返ると、そこにはいつも通りの服装のお隣さんがいた。 「あ、これ食べませんか?」 俺は、大量の屋台の品々を屋代さんに渡した。 …金魚は吉野の庭の池行きになった。 「ありがとう、慎も喜ぶよ」 相変わらず、屋代さんと仲村さんもバカップルらしい。 前へ |次へ |
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