《MUMEI》 私はまだ、由季に何があったかは知らない。 由季も、私に何があったかは知らない。 でも、由季になら、言えるような気がしていた。 私は由季の事を知りたい。 由季に私の事を知ってほしい。 こんな風に思えたのは、久しぶりだった。 信じてるとか信じてないとかじゃなくて、私のことを理解してくれる人だと思った。 今までそんな人に出会わなかった。 だからこそ、理解してほしい、理解したい、そう思ったんだ。 ある日のこと。 私は由季に呼び出され、屋上に向かった。 由季の顔は、いつになく真剣な顔をしていた。 前へ |次へ |
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