《MUMEI》

男鹿は、そんな招かれざる客のボヤきを訊き流すと、なにやら茶色い蓋の瓶に入ったクリームのような物を兼松に手渡した。



『これを頭に塗れ…


    …サービスだ…』



兼松は手に取った瓶を疑り深い眼で眺めるが、ラベルはキリル文字で書かれており、読むことは出来ない。



『何だ?これは…』



『…いいから塗れ…ツラを変えたいんだろ?』



兼松は自分より明らかに年下な男鹿の高圧的な態度にムカつきながらも、渋々前頭部から頭頂にかけてクリームを塗った。



『よし…。


これで明日の朝にはアンタは別人だよ…』



潜りの医者は不適な笑みを浮かべていた…。



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