《MUMEI》

話し終わった時、少し解放された気分になった。

どんなに離れていても、悠斗は私を道具として扱うと言った。

だから、恐怖心というのは変わらなかった。

でも、今由季に話して安心した。

同じ側の人間がいるんだって。

一人じゃないんだって。

この人は理解者なんだって。

「私達って本当似てるよね」

由季がそう言った。

その通りだと思った。

同じ苦しみを味わってきた・・・孤独を知る者通しだった。

「そうだね。私、ずっと同じ側の人間が現れたら・・・って思ってた。そして、今由季と出会って、こうやって話せて嬉しかった。ありがとう」

「私も嬉しかった。ありがとう。私、夢羽の理解者になれるかな?」

「由季は充分私の理解者だよ。私も由季の理解者になれるかな?」

「夢羽は、私のことちゃんと理解してくれたよ」

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