《MUMEI》
飛んで火に
「ち……千花様〜〜……!」

千花様が自ら地下を破壊して生き埋めになってしまった!


「志島君、暴れないの!」

新井田百枝がチクッとしたのを首筋に刺した。
体が痺れる……。


「二、三日したら帰ってくるだろう。それまでには傷は縫っておけるな?」

傷……縫う……!
氷室千石の不敵な笑いで予感がした、絶対に麻酔を使わない……。


「螢君、心配しないで。
千花さんは嫌なことがあると鍵をかける代わりに瓦礫を積んで気分が優れるまで地下に引き篭っちゃうんです。
あと、私縫うの得意ですから。」

どんな引き篭り方だそれ……あと、この人に縫われるんだ俺……!
つまり、針を使われてしまうのだ……

紅葉狩りに出掛けたある秋のことだ、千秋が栗の木に上り、俺へ大量のイガを投げ付けてから尖端恐怖症なのである。
その点、千花様はお優しい。
常に殴り倒して下さる。

針は怖いんだ……!
針は嫌だ……!
ちくちく嫌だ!


「千花様ああああああ!」

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