《MUMEI》

「おまえら、いったいなんなんだ?」
ユウゴは目の前に並んだ二人の男を睨みつける。
すると、長身の男は「まあ、こっちに来て座れ」と言いながらさっきまで彼がいた場所まで戻っていった。
「ケンイチ、コーヒー入れてくれ」
長身の男が言うと、ケンイチは「はーい」とキッチンへ向かう。
ユウゴは促されるままにテーブルとセットになっているらしい椅子に腰掛けた。

「……で? あんたら誰なんだよ、いったい」
一つ大きく息をして、ユウゴは向かいに座る男を見た。
彼はテーブルの上で手を組みながら無表情にユウゴを見返した。
「俺は織田俊之。あいつはケンイチだ。名字は知らん」
「はーい、俺がケンイチでーす」
陽気な口調で言いながら、ケンイチが手にカップを二つ持って戻ってきた。
コーヒーの香りが部屋を包む。
「ほらよ」
ケンイチは一つのカップをユウゴの前に置くと、もう一つは自分が持ったまま椅子に座った。
「名字を知らないって、あんたら友達かなんかじゃないのか?」
思わずユウゴが聞くと、ケンイチが笑って手をヒラヒラと振った。
「俺と織田が友達って、絶対ないない」
「じゃ、なんで一緒に?」
ユウゴのこの問いに、今度は織田が答えた。
「成り行きだな」
「成り行き?」
「そうだ。俺とケンイチも、あのプロジェクトの生き残りだからな」
織田の言葉に、ケンイチは深々と頷いた。

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