《MUMEI》
「どうして、こんなに辛いの……。」
静流は、口を開いた。
「最初は、噂。
聞いたんだ、廊下で。
次は、
記事が大きく張り出されて、皆と壁が出来た。
壁はどんどん厚くなる、
防音されていく。
先生は知らないんだよ。
目も耳も無いんだ。
そうだね、きっとぼくみたいな、掃いて捨てる程いる平民より、私立には上流のお金の成る木が重宝されると決まっているんだね。
黙秘が、良質な学校を作る……。
作られた箱が狂わせる、殴られた、見えないところにいっぱい痣があるよ。
いつの間にか、言いなりの奴隷だった。
接着剤で満たされた靴を履かされたり、綺麗になるまで床に零した珈琲を舐めさせられたり段ボール持たされてダーツ盤になったり……」
「もういい、もういいから……。」
樹は制する。
「俺、笑えてる?」
萎れてしまいそうに静流は笑いかけた。
「ごめん、ごめん、我慢しなくていいよ。
傷んだ分いっぱい
抱きしめててあげるから」
樹はありったけの力で静流を包むことしか出来なかった。
前へ
|次へ
作品目次へ
ケータイ小説検索へ
新規作家登録へ
便利サイト検索へ
携帯小説の
(C)無銘文庫