《MUMEI》

真夜中 優しい 風が 頬を 撫でる


ぬめる 体 重たい ヘドロ




真っ黒な 塊


娘は 喉の 奥に 詰まった 泥を 吐き 目覚めた



バケモノの 屍に 飲まれたとき 飲み込んだ のだ


それと 同時に 毒も 吐き出した

彼女は 生きていたのだ



ただ 愛するものも 亡くした 彼女には 生は 虚しい


愛する者の 屍に 横たえて 自分の 鼓動に 耳を 傾けていた




バケモノの 屍は 乾き 岩のように 硬質に なる



その 塊から 一部だけ 亀裂が 入っていた

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