《MUMEI》

タネを4枚まで集めた後、兼松の札は虚しく空振りを続けていた。



この煮えきらない札廻りは、ここ数ヶ月の逃亡生活を象徴しているようで、兼松の苛つきは募ってゆくばかりだった…。



゚・:*:.。*。.:*:・゚*゚・:*:.。*。.:



3ヶ月前…



兼松は日本各地を転々としながら、警察の捜査の目を逃れ続けていた。



国外逃亡も考えたが、道風会の触手が偽造パスポート製造を取り仕切る裏組織にまで及んでいたため、断念せざるを得なかった。



更に悪いことは重なるもので、金を送った筈の中国にいる仲間とはプッツリと連絡が取れなくなっていた。



大方、送金した金を持って何処かへ逃げたのだろう…。



『糞ッ!…』



ヤケを起こし、仲間との唯一の連絡経路だった携帯電話を、真っ二つにへし折る兼松がいた…。



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