《MUMEI》

『兄貴ィ……今何処スか……』


「気にすんな、坊の尻拭いだ。俺のことは忘れろ、いいな?」


『兄貴ィ……聞こえね…………』

携帯が濡れてイカレた。
薬漬けられた坊を引き取りに極秘任務を命じられた。


組には借金をしていたからチャラになる代わりに出頭することになった。
俺は会社をクビになったのだ。
足を洗っていい許可も出た、それは坊の罪がどれくらいか分からないからだ。


……坊はバイヤーもしていたらしく、保護しに来たときにボストンバッグいっぱいの薬が手渡された。
横領していたのだ。
坊を追尾されないよう囮になったまでは良かったが、度を越えた私刑に奥歯が欠けたり骨は折られ、終いには川に落とされた。

かろうじて生きていても無意味だ、このまま死んでもいいかとまで考えていたのだが。

そうは上手くいかないのが人生である。

河原で引っ掛かっているところを小さい手に捕まえられてしまった。
子供は厄介だ

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