《MUMEI》

「おや、お客さんか、何にします?」


女性は面倒臭そうにして立ち上がった。


「ごめんなさい、お金持ってないです」


雹里は軽く頭を下げると、店内を見渡した。


店内はオシャレなカフェのようだった。


「そうかい」


女性は冷たくいうと、椅子に座った。


しかし雹里はある物に目が奪われていた。


それはガラスケースに飾られている白いヴァイオリンだった。

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