《MUMEI》

「っしゃ!!

ゴールー!!」


凪谷賢史が豪快にシュートを決めた。


「は、速い……。」


「クソー!!

今のは無しだろっ!」


颯ちゃんは悔しい、
とでも言うように地団駄を踏んでいる。


「へん!

ざまぁみさらせ!!

特大のスーパーゴールやぞ!」


「言ったなこのヤロー!!」


ところが、
颯ちゃんが彼に飛び掛かろうと構えた時、
いきなり彼がその場に崩れ落ちた。


「!!!!!?」


慌てて駆け寄ると、
悲痛な表情で足をおさえている姿があった。


「……ぐ…ぅ…。」


「バカ!

何で今まで我慢してた!」


「そうだよ!

そんな怪我で普通にサッカーなんて出来ないよ!」


「我慢なんてしてへん……。」


「嘘つけ!」


「嘘やない!

ホンマに……痛なかったんや。

夢中になりすぎて……怪我してるのも、
忘れてたんや。」


そして彼は悲しげにため息をついた。


「何話してんのやろ。

俺……………。」

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