《MUMEI》

「可笑しいからに決まってるじゃないか」

「何でおかしーんだよ」

「君がそんな顔をするとは、正直思っていなかったものだから」

「そんな顔‥?」

アタシ──

何か変な顔したか‥?

「珠季」

「‥ぇ‥」

「大事に使ってくれよ、それ」

「‥ぁ、ぁぁ‥」

「さて、行こうか」

「んなっ、おい引っ張んなよッ」

駆け出したアタシの

頭の横で──

小さなポニーテールが跳ねる。

「おいっ、まだどっか連れてくつもりなのかよ?」

「当たり前だ。今日の為に僕は念入りにスケジュールを立てたんだからな」

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