《MUMEI》

うるさい、と低く一言呟くと殺鷹に飛ぶことを強請る
「飛んで、殺鷹」
「雲雀?」
「これ以上此処に居たくないから」
殺鷹の服の裾を引きながら早くと改めて強請られ
殺鷹は雲雀を横抱きに抱えると地面を蹴りつけた
高く飛んで上がり、徐に眼下を見れば少年と視線が重なる
その口元が段々と緩んでいく様に、殺鷹は不快感を覚えずにはいられない
全て、壊してあげるよ
唇がそう動くのを読み取って、だが何をして返す訳でなく
取り敢えずは家へ、と殺鷹は帰路を急いだのだった……

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