《MUMEI》

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何時何処で自分を狙う輩が現れるかもしれないという恐怖に怯え、兼松は眠ることも出来ない毎日を余儀なくされていた。



その顔は長い逃亡生活の疲労と憔悴で痩せこけ、年齢以上の老け込み様を見せていた。



いっそ死を選ぼうかと真剣に考えたこともあったが、この男がそんな勇気を持ち合わせている筈もなく…



酒で苛立ちと不安を紛らわし、毎夜のようにコンパニオンを呼んで現実逃避に耽る逃亡生活は、億を超えた逃走資金をアッと言う間に削り取っていった。



切迫詰まった状況でも行動を悔い改められない人間は、最後まで堕ちないと現実を直視できないのだろう…。



伊豆に現れた頃には、逃走資金はセカンドバックに収まる額にまで減っていた…。



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