《MUMEI》
心の傷
「優人さん‥‥」




翌朝、優人が朝食を作っているところに、沙奈が起きてきた。

弟達はまだ起きていない。


「ん?おはよう。」


「‥おはようございます‥‥。」


「‥‥。」


「‥‥。」


しばらく沈黙が続いた。



「‥‥」



「‥‥」



「あの‥‥優人さん‥ありがとうございました‥。」


沈黙の中、口を開いたのは、沙奈の方だった。



「え‥」



「私、もう‥帰ります‥‥。」



沙奈の荷物はもう、片付いているようだった。



「‥そっか‥‥じゃあ、送ってくよ」



優人はそう言って台所の電気を消した。

「でも‥いいですよ‥‥すぐ‥そこですから‥。」




沙奈は優人の背中に向かって言った。

「ううん。送ってくよ」



優人は沙奈を玄関まで連れていった。

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