《MUMEI》
一音階は最低でも違っていた
ついに来ちゃった松代家……。

「家の庭のテラスでお茶でもいかがでしょうか。」

……たまには自分で支払うと言いたかったんです……伝わらないんだ、お金持ちには伝わらないんだ……!


「オレンジペコで宜しいですか?」

呪文を唱えられた。
俺の無知さに30のダメージ。


「……はい、肉の脂身以外ならなんでも。」


「……ふふ、二郎さんて面白いですね。」

多分、誉めてくれてる。


「瞳子さんはお綺麗ですよ。」

誉め返してみたりして。


「……何故、俺を呼んだんですか?」

背後から殺気……神部が立っていた。


「だって、いつも二人だからたまには賑やかにしたくて。お二人同じ部活でしょう?」


「……先輩引退しましたよね?」


「そうだすー。」

ひい……刺々しいよ神部……!だすって、噛んじゃうし……


神部、嫌なオーラ出している……返せてください誰か……



「……瞳子さんと神部はいつからお知り合いなんですか?」

何か話題、話題を……!


「関係ないでしょう?」

うわあ神部、威圧的!


「私はサキ御祖母様に生まれた頃から良くしていただきましたから、生まれた時から知っていますよ。」


「素敵な幼なじみですね。」

なんだか運命的。


「私は小さい七生さんを知っている二郎さんの方が羨ましいです。」


「いえ、俺も四歳の頃に引っ越してきたんですよ。その記憶もあまり無いですけれど。」

麻美にさりげなく小さい頃のこと聞いておいて良かった。

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