《MUMEI》 最後の心当たり「なぁ、祐也…」 「黙って走れ!」 (何か起こってからじゃ遅いんだぞ!) 俺は、振り返る守を睨み、急かした。 俺と守は、守が言った吉野の行きそうな場所の中で、一番人気の無い場所 急な石段を登った先にある小さな神社に向かっていた。 ちなみに 志貴は、知り合い…というか、志貴ファンに吉野の捜索を頼み 頼は、花火大会の会場に一番近い公園に向かった。 その公園も、守が言った心当たりの条件に入っていたが… 《いなかったよ》 ついさっき、そう頼から連絡があった。 「家に、帰ったんじゃないか?」 石段を登りきっても、サッカー部の守は、平然としていた。 「お前、鈍感過ぎるぞ」 俺は汗を拭いながら、ため息をついた。 「あ、あれか? 急に好きなヤツの話したから照れたとか?」 「まぁ、外れてはいないが…」 (絶対好きなヤツがお前だってわかってないだろ) 「撫子も女なんだな〜。ちなみに、もし好きだって言われたら祐也どうする?」 「バッ…」 俺の言葉は 「ヤッ…」 小さな悲鳴に遮られた。 前へ |次へ |
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