《MUMEI》
戦闘開始
(あ、危なかった)


吉野が守にしがみついたおかげで、俺は当初の予定通りに二人を逃がす事が出来た。


守は俺を心配したが


『吉野をこのままの格好で帰す気かよ! いいからさっさと行け! ついでに話し合え!』


怒鳴りつけておいた。


(実際、おれじゃ、吉野の浴衣直せないし)


それが一番の理由だった。


「お前が俺等の相手してくれんのか?」


大柄な男は俺を舐めるように見つめた。


他の四人は『いくら可愛くても男はな〜』というマトモなヤツは一人だけで


後の三人は、ニヤニヤ笑っていた。


「…多分、違う意味だけど、相手になってやるよ」


俺はそう言って、相手の出方を待った。


五人が笑っていたのは


最初に俺に手を出した男が、俺の回し蹴りで吹っ飛んだ後だった。


(履き替えといて正解だったな)


守はそのままだったが


吉野を探しに行く時、俺はスニーカーに履き替えていたのだった。


それから


浴衣の乱れは一切気にせずに、残りの四人の相手をした。


そうしなければ


さすがに、辛かった。


特に、大柄の男は打たれ強かったし。

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