《MUMEI》
スカウト?
「つか…れた」

「お疲れさん」

「…ん?」


(誰だ?)


軽い拍手と共に聞こえてきたその声の主は


俺の頭上


木の上にいた。


「…誰だ?」


(いつから、そこにいた?)


「とりあえず、降りるから退いて」


そう言われて、とりあえず退いた。


「よっと」


(よく枝折れなかったな)


目の前にいる男はかなり長身だった。


決して太ってはいないが…かなりガッシリしている。


(忍は脱いだらすごいタイプだけど…)


男は、脱がなくてもすごいタイプだった。


「つーか、何で真夏にスーツ?」

「ん? 一応、そういう仕事してるから」


(どういう仕事だ?)


首を傾げていると


「ちなみに今日は花火大会の見回りしてたとこ。
ここ、たまにやんちゃなお子様達が来るから」


そう言って、俺が倒した五人を指差した。


「今日は坊主のおかげで楽できたけどな。

な、お前うちの組入る?

背中にいいもん入ってるし、お前なら出世間違い無しだよ」


『背中にいいもん』


俺は慌てて浴衣を直した。


「大丈夫大丈夫。俺もあるから」


そう言って、男は子供のように笑った。

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