《MUMEI》 挙動不審な男「同じの?」 「そ、俺の背中にいるのは龍だけどさ。 あ、俺、名前も龍(りゅう)だから」 『お前は?』 ジッと見つめる目がそう言っている気がした。 だから 「田中祐也です」 名乗って、頭を下げた。 (…何だ?) 名乗った途端に龍…さんの眉間に皺が寄った。 疑問に思っていると、携帯が震えた。 「もしも…」 《祐也、無事!?》 (うるさい) 心配してくれるのは嬉しいが、俺は携帯を耳から遠ざけて会話することにした。 「大丈夫」 《今、守と撫子帰ってきたから! 祐也は戻れる?》 (あー) 俺はチラッと龍さんを見た。 俺は、ほとんど無傷だし、帰ろうと思えばすぐに帰れる。 だが、倒れた五人と 一部始終を見ていた龍さんを放置してもいいのか迷っていた。 《祐也!?》 「あー」 迷う俺は、不意に龍さんと目が合ってしまった。 すると、龍さんは 『さっさと行け』 犬や猫にそうする時のようなジェスチャーを、かなり渋い表情でやった。 (行って、…いいのかな?) 今度は無言で口を『行け』と動かされた。 前へ |次へ |
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