《MUMEI》

数分後。


「これを、田中君が?」


やってきた男


高山 大は感心したように言い、五人の処置を行っていた。


『すごいね、強いね』と呑気に言っているが


この、美しい男は


あの、美少年より遥かに強い。


(多分、母親の血だろうな)


ダイの母・高山果穂は俺達の業界でも有名人だ。


かつて、この地域には陸堂組以外にも、いくつか組があった。


それらをカタギで、しかも女の果穂が


…潰した、のだ。


もちろん、それは実家の財力や、夫の情報収集力によるものもある。


…が、一番は本人の人脈と、本人の並外れた身体能力が大きく


『アレはカタギに生まれたのが間違いだった』


そう、俺の祖父


先代組長が呟いてから


俺達の組は


ヤクザは


暴力団は、高山家にはケンカを売らない。


幸い? あの連中は地域の治安が良ければ裏事情には踏み込んでこない。


そして、時は流れ…


その、息子・ダイは


この地域に残っていた、俺達が手を焼いていた暴走族を


…潰した、のだ。


たった一人で乗り込んで、頭と幹部を倒して。

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