《MUMEI》

「でさ、こいつらやっぱり内臓売ったりとかしちゃうの?」


手当てした後、そう言うダイはある意味俺よりヤクザらしい。


ちなみに、俺とダイは高校の同級生だったりする。


普通は、親が嫌になると不良になるが


俺の場合それをやると喜ばれるから


…ガリ勉になってみたのだった。


だからダイの事も最初は『高山君』と呼んでいた。


それが、変わったのは、コイツが暴走族を潰した時。


たまたま通りかかった俺は、その強さに惹かれ


『なぁ、俺の組に入らねぇか?』


ガリ勉姿のまま、そう言った。


それ以来、呼び方はずっとダイになった。


理由は、俺がずっと大の名前をダイだと思っていたからだ。


「いや、ちょっと説教して帰す」

「優しいんだね」

「…まーな」


(場合によっては殴るけど)


「じゃあ、楓が待ってるから行くから。
田中君は、諦めなよ?」

「わかってるよ」


『高山家には逆らうな』


それが、俺の組の密かな教訓。


だからこそ、『お気に入りの田中祐也』の名前も知っていた。


浴衣姿だったし、背中のアレに気をとられたし…


あんなに強いとは、知らなかったが、……残念。

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