《MUMEI》
4時間目の数学の時間が去っていった。
授業中珠美はうとうとしながら睡魔と闘いつつも、久我のことを考えていた。
今日のお弁当おいしそうに食べてくれるかなぁ?好物だって言ってたロールキャベツも、朝早く起きて作ったし・・・。
そんな50分間を終え、授業終了のチャイムが鳴った。
「やっとお昼だぁ〜!!」
両腕を天井に向かっていっぱいに伸ばしていると、数学教師がやってきた。
「お前、もう高3なのにさっぱり授業聞いていなかっただろう」
だいたいなぁ、と話を念仏の様にぶつぶつと続き、解放されたのは15分後だった。
も〜せっかくのお昼時間が〜!!
弁当を引っ掴んで裏庭まで突っ走った。
この学校は特別塔の長い廊下を通らなければ裏庭まで通じていない為、かなり大変な道のりだ。
珠美は裏庭につくと息を切らしながら、久我の姿を探した。
すると久我が2・3人女をはべらせているのを見つけた。
友達と話してるのかな?待たせちゃったしなぁ・・・。
珠美はそう思いながら久我に小走りで近づいていくと、話し声が聞こえた。
「ねぇー何であんな子に告ったのぉ〜?」
「ほんとよねぇ〜あんな子似合わないのに」
「あぁ、珠美のこと?あいつ料理がうまいって有名だろ?だから食べてみようと思っただけだよ」
「あ〜ぁ、かわいそー!!しかも私達のこと久我君の友達だって思ってるんでしょ〜?」
「馬鹿だよねぇ〜!!」
アハハッと笑いあっている久我を見て、珠美は愕然とした。
「久我くん・・・。」
珠美は溢れてくる涙を必死で止めようとしたが、止まることはなかった。
珠美は寒く長い廊下を走って行った。
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