《MUMEI》
合流
(変な人だったなぁ)


俺は志貴が指定した待ち合わせ場所に向かいながら、龍さんの事を考えていた。

…が。


(ま、もう会う事は無いよな)


俺に手を振る志貴と頼を見つけた時には


その、存在を考えない事にした。


「大丈夫だった!?」

「あぁ」

「だから、平気だって言っただろ?」


(何故お前がそれを言う?)


俺が頼を見つめると


「だって俺、身を持って祐也の強さ体験してるもん」

満面の笑みでそう言った。


「偉そうに言うな」


それは、つまり


この中で唯一頼だけが俺を怒らせているという事だった。


「あの…本当に、ありがとうございました」


そう言った吉野の姿は、消える前に戻っていた。


浴衣は守が


髪型は志貴が直したらしい。


「で、二人はちゃんと話し合ったのか?」


「あぁ」

「…」


(何か、…微妙?)


「撫子、片想いの相手がいるのは認めたけど、まだ名前言わないの。

とりあえず、祐也と頼じゃない事は守もわかったけど」


(そこまでわかって何でわかんないんだよ)


小声で説明してくれた志貴と、俺は同時にため息をついた。

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