《MUMEI》

それからただただ黙って歩いて、最終電車に乗った。


蓬田の肩はすごく小さくて、
ちゃんと元に戻ったんだ、ってことを実感した。



おれ達意外には誰も乗ってない車両。


乗り過ごさないように、あくびをかみ殺す。


蓬田は、ボックス席の向かいに座って熟睡している。



疲れたんだろうな…
おれもだけど。


目の前で小さく寝息を立てる蓬田は、
さらさらの黒い髪に、長いまつげ。
うっすらと赤みの差す頬に、小さな唇。



―…あー、なんか変態みてえだから、羅列すんのやめよう。



とにかく、全部蓬田にぴったり当てはまってる。


蓬田の体には、蓬田の魂が入るべきなんだよな。



そんなことをぼんやりと思っていると、





到着のアナウンスが、控えめに鳴り響いた。

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