《MUMEI》

「あれ」



その声に、胸が躍った。



「…蓬田、なんで」



振り返ると、椎名くんが少し驚いたように、
首をかしげて立っていた。



「あの、ね、ね寝坊しちゃって…!!」



慌てて言い訳をすると、



「ふーん…珍しーな」



と、椎名くんは小さく微笑んだ。



やっぱり、本物の椎名くんの笑顔の破壊力は相当だ。



失神しそう…




私が失神しそうになっていると、電車がホームに入ってきた。

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