《MUMEI》

「ん?」


「え?」


「俺さぁ、
結構周りから注目受けてるやろ?」


「え?
うん………?」


「まあ、そうだな。」


「せやから犠牲になるねん。」


「誰が?」


「何で?」


「聞いたやろ?

俺がボコられてる時…。

俺のせいで……注目されなかったり、
レギュラーになれなかったり……。」


「うん……。」


「まあ……。」


「俺のせいで……、
奴等は犠牲になったんや。」


「違うよ。」


「んな訳ないだろ。」


「いや、
俺のせいなんや。

せやから………俺もなんか犠牲にせなあかんねん。」

そう言って凪谷賢史は、
ねっ転がった体勢のまま辛そうに顔を背けた。


「せやから…本当は………。

お前等とも話出来んのや。」


「何でだよ!」


颯ちゃんは声を荒げてそう言うと、
彼の隣に寝っころがった。


「お前は何も犠牲にすることないよ。」


「そうだよ。」


俺も丁度颯ちゃんと挟むようにして、
彼の隣に寝っころがった。

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