《MUMEI》 俺と颯ちゃんはひたすら彼の話に耳を向けていた。 「サッカーを始めた頃はな、 しょーもない程下手くそでな。」 彼はククッと苦笑いした。 「せやけど、頑張ってん。 絶対上手なってやるぞって、 毎日猛特訓してん。 いつも体中に痣出来てたなぁ。」 何処か、懐かしむような声でそう言った。 「夢中になって、 ふと気がついたらレギュラーになってた。」 「良いじゃん。」 「うん。」 「やけど、 思うねん。」 「俺、ホンマにこのままサッカー続けてて、 えぇんやろか。」 「さっきサッカーは諦められないって言ってたじゃないか。」 「やけど………。」 しばしの沈黙のあと、 颯ちゃんが突拍子な発言をした。 「困る!!」 「なんや?」 「どうしたの?」 「お前がサッカー辞めたら、 俺が困る!」 「どういう意味やねん。」 彼は顔をしかめた。 「うん。」 俺も同意した。 「俺………。」 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |