《MUMEI》

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―――…パシッ…!



…その妄想を手繰寄せる札が山札の頂きから現れ、兼松の手に下った。



―――…「松に鶴」



『雨四光リーチだ…』



兼松はドス黒い声で宣言する。



だが〆華は微動だにしなかった。



それどころか兼松を挑発するかのように、手札からある一枚の札を空切りした。



―――…「桜のカス」



山札からの返しの一枚も、敢えなく空振りする…。



(この女…何を考えている…?)



兼松は、〆華が何気なく放った「桜」の札を凝視しながら疑念を抱いた。

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