《MUMEI》 千代が連れて来てくれた手芸屋には── 色んな種類の毛糸が置いてある。 「へぇー‥」 何か菓子みたいな色のもあるな──。 「って‥んな事考えてる場合じゃなかった‥」 藤色と空色のミックス毛糸を捜すんだったよな‥。 ‥でも‥。 「ないな‥」 棚の端から端まで捜してみたけど‥ アタシが捜してる毛糸は見つからない。 「──────‥」 「珠季っ、あったよ!」 「‥ぇ?」 キョトンとしながら── 千代の声がした方に走る。 「ほらっ」 「──ぁ」 ほんとだ‥。 そーいやアタシ‥ キットのコーナー見てなかったよな‥。 千代が一緒に来てくれて良かった──。 前へ |次へ |
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