《MUMEI》

「珠季」

「──ぇ」

「本」

「本‥?」

「君は──本を読みに来ていたんじゃないのか」

「‥ぇ、まぁ、そーだけど‥」

ほんとは違う。

嘘ついちまった‥。

「珠季‥?」

「なっ‥何でもねーっつの」

「‥‥‥‥‥‥‥」

「オマエいー加減ガン見すんの止めろよな‥」

「前の席に座れと言ったのは君じゃ無いか」

「〜〜〜〜〜〜‥」

そーだよ‥

アタシが言ったんだ‥。

でもオマエさぁ‥

何で本じゃなくてアタシの方に顔向けてんだよ──‥。

気になってしょーがねーじゃんか‥。

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