《MUMEI》

「うん。綾瀬君、絶対喜んでくれるよ」

「まだ半分も出来てないけどな──」

「大丈夫だよ」

「そー‥かな‥」

「綾瀬君に、喜んでもらいたいんでしょ?」

「‥ぁぁ」

そーだ。

アタシは

アイツに喜んでもらいたくて──

ビックリしてもらいたくて──

だから編んでんだ。

「あんがとな、千代。何か──やる気出てきた」

「──ふふっ、良かった」

「‥ぁ、そーいや静瑠‥また図書室かな‥」

「綾瀬君なら、さっき教室に向かってたみたいだけど──」

「そっか」

なら安心だな──。

クリスマスイブまで‥

あと1週間。

アイツを──

絶対ビックリさせてやる。

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