《MUMEI》
イブの遊園地
「──君は帰らないのか」

今日──

終業式があった。

放課後‥

帰り支度を始めた静瑠が

キョトンとしながらアタシに訊いてきた。

「何か用事でもあるのか?」

「ぃゃ、そーゆー訳じゃないけど‥」

「なら何故残るんだ‥?」

「‥ん」

「?」

「後で読んどけ」

「手紙か?」

「っと‥、だから‥」

「───────」

「ぁ〜もォ‥いーから帰れよさっさと」

「分かった。──それじゃ」

「‥ぉぅ」何だか照れ臭くて‥

面と向かって

『じゃあな』なんて言えない。

でも一応‥

手だけは振ってやった。

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