《MUMEI》

ユウゴは二人を疑わしそうに眺めた。
するとケンイチは憮然とした表情で「ほんとだって」と口を開く。
「半年前のプロジェクト。あれの生き残りは俺達二人とあんたら三人だっただろ。よく思い出せって」
言われてユウゴは記憶を呼び戻した。
表彰式、確か司会の人間が鬼が二人と子が三人生き残ったと言っていた気がする。
ユウゴたち三人は子だった。
「鬼二人……?」
呟くユウゴにケンイチは「そうそう」と嬉しそうに頷いた。
「たしか、表彰式には来てなかったよな」
ユウゴが言うと、織田は息を吐くようにして笑った。
「当たり前だ。そもそもあれはおまえらを罰するためのものなんだからな」
「罰する?」
「そうだ。おまえは今までプロジェクトの表彰式なんて見たことあったか?」
ユウゴは少し考えて首を横に振った。
そういえば、今まで一度もそんなものを見た記憶はない。
「そうだろう? おまえたちは特別だったのさ。まあ、もし本当の表彰式だったとしても、俺たちは怪我がひどくて動けなかったんだがな」
ユウゴは表彰式の時のことを思い出していた。
とても大規模なものだったような気がする。
「あれが、俺たちを罰するためのもの……」
「そうだ。本来は誰かを処刑するつもりだったらしいんだが、おまえが逃げ出したおかげでその対象がおまえになった」
織田は言ってコーヒーを一口飲んだ。

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