《MUMEI》

放課後、帰宅する生徒達や、部活へ行く生徒達でにぎわう中、珠美は席に座ったまま上の空だった。

「あたし、部活行くけど大丈夫?一緒に帰ろうか?」

佳緒が心配そうに珠美に近づいてきた。

「いいよ!!佳緒今度大会でしょ?」

佳緒は弓道部のスタメンでキャプテンである。

しかもこの学園は全国大会の常連校なので、佳緒も出場が決まっているのだ。

本当に平気〜?と最後まで心配する佳緒を無理矢理部活へ行かせた。

さて、私も帰ろうかな。

珠美は準備をして昇降口へ向かった。

階段を下りながら珠美は、昼佳緒に言われたことを思い出した。

NIGHTSって人達、本当にいるのかなぁ。っていうか何者?

ぶつぶつと声に出ていることも知らずに歩いている内に、昇降口に着いた。

そして珠美はローファーを取り出そうと靴箱を開けた。

ガコンッと靴箱が開くと同時に、1通の手紙がひらりと落ちてきた。

ん?何コレ。

珠美は首を傾げつつ開封する。

すると中からこんな文書が出てきた。



【DEAR ALICE

 突然の手紙をお許し下さい。
 この手紙をお受け取りましたら、この学園の旧校舎2Fにお越し下さい。
 ただしこのことは御内密に―。
 それではお待ちしております。
 
   FROM NIGHTS】


でえぇっ!!あの『NIGHTS』?ていうか
『ALICE』って何?

珠美は手紙を持ったまま、わたわたとし始めた。

傍からみるとかなりの挙動不審者である。

でも行かないと失礼だよね・・・よし、行ってみよう!!

「でも、旧校舎かぁ・・・」

この学園にはもう使われていない旧校舎がある。

そしてその校舎には夜な夜な女のすすり泣く声が・・・という様な部類の噂がある。

つまり幽霊がでると言われている場所だった。

う〜・・・怖いの苦手なんだけどなぁ・・・。

しかし珠美は幽霊に負けて行かないのも悔しいので、旧校舎に足を運び始めた。

―この幽霊に負けるのが、という理由は理解しがたいのだが。

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