《MUMEI》

「ほい、食いな」

「有り難う」

「ん、どーした?」

「ご馳走だな、と思って」

「味わって食えよな、これでも結構手間かかって──」

「ぁぁ、そうするよ」

静瑠は嬉しそうに言って

早速

オニギリを1つ取った。

「君は食べないのか」
「ぇ、アタシは──」

『別に』って言おうとしたら

運悪く腹時計が盛大に鳴ったもんだから‥

静瑠に笑われた。

「意地っ張りだな」

「ぅ‥うるせッ」

「──ほら」

「ぇ」

「僕1人じゃ、こんなに沢山は食べられない」

「‥しょ、しょーがねーな‥」

差し出されたオニギリを

ギクシャクしながら受け取った。

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