《MUMEI》 5時になって── やっと暗くなってきた。 そろそろだな──。 「珠季?」 「観覧車、行こーぜ」 「今からか?」 「いーからほら、行くぞ静瑠」 「───────」 静瑠は黙って アタシの後を付いて来る。 観覧車に乗り込んで── 馬車の時と同じように 向かい合って座った。 「──で」 「‥ぇ」 「何かあるんだろう?」 「まだヒミツ」 「仕方無いな──」 「もうちょっと高いとこまで行ったら出すから」 「出す?」 「‥だから、もうちょっと待ってろ」 「ぁぁ、──分かった」 前へ |次へ |
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